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  内服薬「承載丸」
  中医学の内服薬、「承載丸」は体力をつけて基礎体力を固めること(扶正固
本)や、腎を温めて陽気を補充すること(温腎壮陽)、体内に血(けつ)が溜
まって通らなくなる病(於血)を取り除いて、経絡の気の流れを良くするとい
う効能を備えています。「腎虚」や「筋脈」が閉じて遮ることによって引き起
こされる腰や膝の痛み、屈伸が不自由になるなどの症状に用いられます。
そして長期にわたる臨床観察と動物実験を経て次のことが証明されています。
細胞と有機体の成長と発育、骨の代謝プロセスを促進すること。
骨の両側の膨らんだ部分の硬く無機質で、カリカリになったリン酸酵素の活性
を高めること。
細胞の構成を増やすこと。
細胞に成長ホルモンを与えること、及び甲状腺細胞を増加させること。
そして骨の成長発育を顕著に促してカルシウム化する作用を備えています。
大腿骨頭壊死症を治療するのに信頼しうる治療効果があるのです。
 「承載丸」が大腿骨頭壊死症を治療するにあたっての薬効作用と安全性を確
かめるために、中国中医科学院整形外科学研究所に特に委託して、薬効学と毒
理学の実験研究を行いました。
 長期間、副腎皮質ステロイド薬(ブレドニゾロン)を服用して両足に無菌性
大腿骨頭壊死症を発症したラットの動物群、及び去勢して骨の性質をグズグズ
と柔らかくしたラットの動物群で中医薬製剤「承載丸」を使用しました。
結果は、走査型電子顕微鏡による所見では大腿骨頭表面ではそれ以上陥没した
箇所の出現は見られず、骨細胞の中に広くある網状構造が快復していました。
そして、大腿骨頭の中の骨細胞或いは軟骨細胞の脂肪滴も明らかに減少してい
ました。更にまばらで薄い毛細血管を快復することができ、骨の中にある小さ
な梁構造の密度や広さ、幅なども所々増加していました。骨の密度や重量、骨
の強度及び剛性も明らかに増加して、女性ホルモンの水準が低下した状態も改
善できたのです。
この実験によって「承載丸」が無菌性大腿骨頭壊死症に対して修復作用があり、
治療効果が信頼しうるものであることが証明されたのです。
 
 「承載丸」の大量、長期服用による毒理実験結果
  薬を投与した期間の各組の動物の体重の増加には、組間で明らかな差異は
 なかった。動物の体の動きはスムーズで反応も速く、毛色にも潤いがあり、
 口や眼、鼻、耳にも異常な分泌物は見られず、排泄物にも異常は見られなか
 った。
  血液学検査では、3期の期間中各組の動物の赤血球の数値、血色素、白血
 球の数値及び分類、血小板の数値には顕著な差異はおしなべて見られなかっ
 た。
  血液生化学検査では、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、A
 ST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ビルビリン、クレアチ
 ニン、尿窒素、総蛋白、白蛋白(?)、アルカリホスファターゼ、血糖値、
 総コレステロール値などには顕著な差異は見られなかった。
  解剖学及び病理組織学検査では、心臓、肝臓、脾臓、肺、腎臓、腎上腺、
 胸腺、睾丸、卵巣、子宮、前立腺、脳、胃、甲状腺などの臓器の外観を観察
 した結果、おしなべて表面は滑らかであり、癒着は無く、充血や出血の斑点
 も無く、ただれなどの病変も見られなかった。
 また、各時期の臓器の指数は組間で顕著な差異は無かった。
 病理組織検査でも薬が引き起こした毒性の病理変化は見られなかった。